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執筆者の写真Hirokazu Kobayashi

青色光に負けない植物:そして人の役に立つ!*

更新日:7月10日

小林裕和

(株)グリーン・インサイト・代表取締役/静岡県立大学・名誉教授・客員教授

 

青色光はヒトの目によくない。青色光はエネルギーが強く紫外光を含むとなお有害。目の網膜が損傷を受けると修復は困難となるため、強い日差しの下ではサングラスがお勧め。植物にとっても同様、強い青色光は有害である。しかし、自然界での植物は、日差しなどの環境要因に常に曝され、その影響を回避するあるいは利用する方向に進化してきた。その成長は光量、気温、降雨などの要因の影響を受け、これらの条件が揃えば、高品質の農作物が高収量となる。しかしながら、豊作はしばしば低価格を招くため、生産者は複雑な思いのはずだ。一方、環境要因を人為的に変えることで農作物の付加価値を上げる例も見いだされる。照光時間を制御して開花させる電照ギク、栽培時に遮光する玉露や抹茶の原料となるチャ葉、清らかな流水が必要なワサビ、時期外れの石垣イチゴなど。変わったところでは、音楽が植物に与える影響について、1962年以降いくつかの論文が発表されている。癒やしの音楽は植物の成長を促し、ロックはその逆らしい。静岡県袋井市にあるエコパ・スタジアムの芝生にクラシック音楽を聞かせているという話に対し、科学者としての見解を求められたことがある。植物科学では、現象に対する機構が見出されて漸く事実として受け入れられる。音は空気振動として葉に伝わる。葉への接触を植物が感じる機構が解明されており、音の効果も類似の機構の介在を予想させる。

 

紫外線に代表される短波長光は、ヒトを含めた生体細胞にDNA切断などの傷害をもたらす。これを回避するために、短波長である青色光に植物が曝されると、抗酸化活性を有するポリフェノール類を蓄積する。一方、これをヒトが経口摂取すると、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、「がん」 などの生活習慣病の予防・改善効果に繋がる。そこで、ブロッコリー・スプラウトに青色光を照射すると、ポリフェノール類含量が3倍増大することを見出し、3件の特許を出願した。この事業化も社会貢献の1つになると考えている。




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